高砂淳二

 夜に月の光で極々稀に現れる虹がある。肉眼で見るとちょっと白っぽく、夜空にかかる白いアーチのように見えるが、目を凝らしてみると七色しっかり入っているのが分かる。

ハワイでは夜の虹との出会いは最高の祝福とされていて、その人にとって大事な変化が起こるときなどに現れる、とも言われている。

 僕が初めて夜の虹に出会ったのは、2001年の夏、マウイでのことだ。ちょうどその3日前、古代から伝わるハワイアンの智恵を伝承しているカイポさんという人に夜の虹のことを聞いたばかりで、ぜひ僕も一度見てみたい、と強く思っていたところだった。その日は満月で、東の山の上に大きくまん丸な月が顔を出したころ、雨が降り出してそこに静かに大きな虹が現れたのだった。

 夜の虹にすっかり魅せられてしまった僕は、その後何度も何度も、虹を求めて夜のハワイをさまよい歩いた。ハワイの夜は美しく、その大自然の風景は宇宙まで続いていた。そんな神秘的な風景を見ていたら、古代から伝わるハワイアンの自然観がすんなり体に染みこんでくるような気がして不思議だった。

高砂淳二

高砂淳二

自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。 宇都宮大学在学中にオ−ストラリアを放浪。
ダイビングと写真を始める。 「月刊ダイビングワールド」誌スタッフフォトグラファーを経て89年に独立。
海の中から生き物、風景まで、地球全体をフィールドに、自然全体の繋がりや人とのかかわり合いなどをテーマに
撮影活動を行っている。
「night rainbow −祝福の虹−」「free」「aqua」「life」「アシカが笑うわけ」(小学館)、
「ハワイの50の宝物」(二見書房)、「クジラが見る夢 〜ジャックマイヨールとの海の日々〜」(七賢出版・共著)
ほか著書多数。
高砂淳二公式ウェッブサイト


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